フィリピンを体験してみた


Sunrise In Makati / Randy Lemoine


the chosen mode of customized transport in the Philippines / permanently scatterbrained

twitterで知り合った梅澤くん(@umemac)との食事会にて、彼が10年間フィリピンに住んでいたということを聞き、俄然フィリピンに行ってみたくなった。それまでフィリピンに行こうと思ったことはまったくなかったんだがなんか楽しそうである。

というわけで、1度しか会ったことのない梅澤くんに強引にフィリピンツアーを組んでもらうことになったわけです。無理言ってごめんなさい。
※まあ、この強引な展開を言い訳すると梅澤くんは僕の親友であるフラクタリスト創業者の田中祐介氏と今度会社を作る準備をしているということがわかったので、友達の友達は友達というわけですよ。そんな祐介も一緒にフィリピン。

読んでるみなさんも旅行記じゃつまらんだろうから、シンプルに感想とレポート。セブ島はばっさり割愛。
たったの3泊4日ですからフィリピン在住や住んでいた人から見ると「全然違うんですけど」的なことばかりかと思うが、そりゃまあ、あくまでも小澤目線のレポートということでお許しを。

フィリピンは近い

勝手に7時間かかると思っていたら、4時間くらい。
すげえ近い。あっという間につきます。

治安はすこぶる悪い

どうにもこうにも安心できません。慣れていないだけかもしれませんが、安心できない国です。

  • 空港の出入口にはよくわからん人々が多数集まっている。いや、良い人かもしれないが、なんだかよくわからん。梅澤くんは「あそこには入らない方がいいですねー」ということでした。
  • 店の入口には必ず警備員。ショットガンを持っている人も多い。物騒すぎる。でも店の中やショッピングモールの中には入ってしまえば安心。
  • 貧富の差は激しく、東洋一といわれるスラム街が存在。夜、そういった場所を見る機会があったがとにかくいっぱい人がいる。大丈夫なような気もするんだが、やっぱり出歩く勇気なし。
  • 高級マンションや高級住宅地は必ず金網に囲まれ、出入口には大量の警備員で厳重な警備体制
  • 金持ちはボディガードをつけているとのこと。前後に護衛の車がいて、銃をいつでも取り出せる状態にしているとのこと。

めしは普通



中華料理とかフィリピン料理とか食べましたが、まずくはありませんがすごいうまいわけでもありません。
まあ、南の国ですね。ただ、マンゴーは激ウマ。すごいたくさん食べちゃった。
あとJOLLIBEEっていうファストフードのハンバーガーはうまかった。1個60円くらい。

物価が安すぎる

  • めしが安い

もちろんレストランにもよるが、体感日本の1/5〜1/3くらいかなと思う。
ホテルとか入れば普通な価格だが、一般のお店は果てしなく安い。
モールの中にある高級レストランでめいっぱい食べてワイン開けたときで一人1,500円くらいだった。

  • モノが安い

アパレルとかの価格を見ていたらだいたい日本の半分以下ですな。概ね1/3くらいだった。
ルイ・ヴィトンとかプラダとかあったが、価格チェックはしていないのでわからん。

  • 給料が安い

月収1.5万円くらいの人がたくさん。
使用人は月収1万円くらいとのこと。安い、安すぎる。
僕が会った人は、洗車する専門の人とワックスする専門の人を雇っていらっしゃいました。

みな、英語がしゃべれる

メインはタガログ語ですが、ほとんどの人が英語がしゃべれます。使用人でも、ドライバーでもしゃべります。絶対に高額な英会話教室なんて通ってないはずなのに。自分が恥ずかしい・・・
しかし、どういう教育なんだろう。

客引きはしつこくない

観光地や発展途上国系にありがちな強引な客引きがあまりない。エジプトとか本当にひどかったが、ここはあっさりしたものだった。

時間を守らない

まあ、南の国にありがちなのですが、全然時間を守りません。30分、1時間の遅刻は当たり前。でも誰も怒らないし、逆に僕らが遅れても怒られません。仕事することを考えると、やっぱり痺れますね。

まったく決めたことが守られない

事前に手配した内容が恐ろしいほど守られていない。すべて現場で交渉し直し。ほんと嘘みたい。でもフィリピン歴10年の梅澤くんは「これがフィリピンっすよー」と言いながら交渉して解決していく。実に頼もしい。しかし、なんたる非効率なんだ!

ムチャクチャなことが起きる

マニラで会ったインド系フィリピン人、ラジャン。梅澤くんの友達。

なんとこの風体で25歳。堂々たる風格。
彼が1本電話したら、俺たちの車に白バイが2台ついた。

ラジャンが電話して10分で来た。いわゆる、白バイによるVIP先導というやつです。なんだこれ。ラジャン、恐るべし。
渋滞中の道を白バイがサイレンを鳴らしながらかき分けてくれるので、僕らの車はすいすいです。日本では絶対に味わえない体験です。これはすごかった。こういうの、話では聞いたことがあったが本当にあるんだな。電話一本で警察を動かせる男がいるんだぜ、フィリピンには。
ちなみにラジャンが乗ってきたもう一台の車は警察車両のナンバーを付けていた。もちろんラジャンは警察官ではありません。銀行のオーナーです。メチャクチャがまかり通っています。

フィリピンに対する印象まとめ

大きくまとめるとこんな印象。

■いいところ

  • 物価が安い
  • 人が沢山いる
  • 英語が話せる
  • 日本から近い
  • 人が明るい

■悪いところ

  • 治安が悪い
  • 時間を守らない
  • 怠け者が多い
  • 渋滞
  • 警察等が信用できない
  • 賄賂社会
  • 決めたことが守られないことが多々ある

■それ以外の特徴

  • 貧富の差が激しい
  • 暑い
  • アジアの中でも、まだまだこれからという感じがする
  • 優秀な人はどんどん国外に出ていってしまう。それで仕送りしてる。

とまあ、こんな感じ。
とにかくなんかとてもおもしろかったし、興味を持ちました。
いいところだけみるとノビしろは結構ありそうで、なんかやれるんじゃないかななあと思いますが、おそらくここ30年ずっとそんなこといわれている状態にも関わらず、やっぱりこの現状だとするとまったく単純に考えられない問題がいっぱいあるのだと思うわけです。

IT目線で単純に考えるとオフショア系のビジネスは確実にありだと思います。実際アメリカのコールセンターはフィリピンにセンターを作っているみたいだし、ネット経由で格安の英会話教室はだいぶ出てきています。とにかく現地でのスタッフコントロールをどうするか、というのがすげえ気になりますし、カントリーリスクもかなりあるわけですが、ITという視点からフィリピンを考えてみたいと思いました。なんかできるんじゃないかと思います。
実はnanapiの英語版のライフレシピをフィリピンで書いてもらうのは絶対ありだな、と思っております。

※ご参考情報
JETRO 定期報告: フィリピンIT事情 FY2009-No.1というレポートがありました。これによるとITのオフショア開発については20年前から取り組んでいるものの、イマイチメジャーになりきれていないようです。
またJICAによる「フィリピンIT人材育成プロジェクト」というのも5年かけて行われたようです。実績でたのかな。
さらにこのサイトによれば、フィリピンのソフトウエア産業の売上は7億ドル(2006年度)と極小であり、中国の1/20、インドの1/50とのこと。うーむ、伸びシロはありますよ〜。

というわけで

山師、一発逆転志向型はぜひともフィリピンで勝負してみてはいかがでしょうか。
なにしたらいいかわからないという人にとってもフィリピン×日本のビジネスはおすすめです。なんかチャンスありそうです。
一方でとにかく安全面に気を使うことと、話相手を間違えるとぜんぜんうまくいかないことは容易に予想できますので、自己責任でよろしくお願いします。僕はまず梅澤くんとラジャンと一緒に歩んでまいりたいと思う次第です。

とにかく梅澤くん、いろいろありがとうございました!