脳科学者藤井先生の研究室を体験してみた
私はJustGivingにおいて
「100箇所の職場体験、現場体験してきます」
という挑戦を通じてピースウィンズ・ジャパンへの寄付を集めています。
今回はその17箇所目となります。過去の体験はこちら。※職場体験をなんでしようと思ったのか、はこちらを御覧ください
さてさて、今回の内容は難しいぞー。覚悟してください。書くのもとても苦労しました。でも、日頃触れない場所なのでぜひぜひ読んでみてください。
みなさん、友達に脳科学者っていますか?僕はいません。そもそもなにやっているかも見当がつきません。解剖手術しているの?
というわけで、今回理化学研究所 脳科学総合研究センター適応知性研究チームの藤井先生の職場体験のオファーを頂いたときは
「一体、なにを体験するのか」
と思いました。
しかもSPYSEEを見たらなんだかすげえ感じ。なんかあまりにも脳科学者っぽすぎてすごい。
http://spysee.jp/%E8%97%A4%E4%BA%95%E7%9B%B4%E6%95%AC/1174776/
しかもしかも
被験者でお願いします
ということでしたので、なに、おれどうなっちゃうの?的な不安がありました。とりあえずちょっとサイトを見てみました。
■藤井先生の研究室の研究課題
- 霊長類の社会的脳機能解明
- 高機能多電極記録手法の開発
- ヒトの他者および環境認知の脳機能解明
- 現実的仮想社会空間の開発
ふーむ。これは脳に電極刺されるな、ということは覚悟しました。まあやむを得ません。被験者ですから。そんな覚悟を胸に和光市の研究所に行ってきたわけです。
理研とはなんなのか
今回お世話になった藤井先生は理化学研究所に所属しています。通称「理研」です。で、理研ってなんだか御存知ですか?
独立行政法人理化学研究所(りかがくけんきゅうじょ)は、1917年に創設された物理学、化学、工学、生物学、医科学など基礎研究から応用研究まで行なう日本で唯一の自然科学の総合研究所。略称「理化学」または「理研」。
予算:年間1047億円(2009年度実績)
人数:全3270名(2009年4月1日時点)
理事長:野依良治
(wikipediaより)
詳細は理研のサイトやwikipediaを読んでいただければと思いますが、要するに
- 日本の産業発展のために税金を突っ込んで物理学、化学、工学、生物学、医科学を研究している研究所
です。なんと創設者は渋沢栄一。理事長はノーベル賞受賞者の野依先生。同じくノーベル賞をとっている湯川秀樹先生、朝永振一郎先生も理研出身です。恐るべし、理研。
非常にお恥ずかしい話ですが、理研という存在は知っていましたが(しかも栄光なき天才たちというマンガで)、今もこんな規模でお国の産業発展のための研究をしていたなんて全然知りませんでした。やるじゃん、日本。ちなみに世界的に見てもこの規模の研究所は珍しいそうです。
ぜひぜひ理研で民間ではやれないような研究をしてもらって、そこで開発された技術をビジネスに転用したいきたいものです。しかしどうやってやるんだろ。サイト見てもわからんな。。。
とうわけで、藤井先生の研究室はこの理研の中にあるわけですよ。
理研に潜入
というわけで、いよいよお話をきいたりします。
藤井先生のチーム
先生の研究室のサイトはこちら。
SPYSEEで見た写真はなにやらすさまじいインパクトで「マッドサイエンティスト系か?」とすら思っていましたが、実際にあった先生はとてもオシャレで温和な方で安心しました。とってもオシャレです。なんせ、Tシャツ、ボンバーマンですから。
藤井先生のプロフィール
理化学研究所 脳科学総合研究センター 適応知性研究チーム チームリーダー
理研BSI‐トヨタ連携センター 双方向性BMI連携ユニット ユニットリーダー
1965年 広島生まれ
1991年 東北大学医学部卒業
同大医学部眼科学教室にて初期研修後、同大大学院に入学
1997年 博士号取得
1998年よりMIT McGovern Institute Graybiel Labにて上級研究員
2004年より理化学研究所 象徴概念発達研究チーム 副チームリーダー
2008年より現職
主要研究テーマは、適応知性および社会的脳機能解明。
科学者であり、お医者さんなんですね。しかもMITにいたんですね。うーむ、ビカビカです。そんな藤井先生は理研において
知的脳機能研究グループ 適応知性研究チーム
というチームのリーダーなわけですが、このチームがなにをやっているかを聞きました。
※さてここからは小澤の大雑把な理解なので、内容はとても簡素化されて表現されることをお赦しください。
藤井先生の研究は大きく2つのテーマがあるそうです。
- 1 猿を使った脳の研究
- 2 ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)
1 猿を使った脳の研究
猿を使ってなにを解き明かそうとしているか、とうことが重要なわけですが、藤井先生は「社会性」を研究されているそうです。
人は複数人いるグループ(社会)に属することにより、他人とコミュニケーションをとりながら関係を構築し、その社会の中で自分ひとりの世界よりもある程度制限された立ち振る舞いを行っていきます。それは社会性と呼ぶことができます。藤井先生は、従来のように1つだけの脳を見るのではなく、複数脳を同時にトラックすることで社会性の研究を行っているとのことです。
藤井先生の「社会性を研究するということは我慢を研究することなんだよ」という言葉はとても印象的でした。たしかに僕らは様々な環境の中で、いろんな我慢をしています。赤ちゃんは自分の経済状況や他の人の事を考えず、欲しいものは欲しい、食べたいものは食べたいという気持ちを持ったらその気持にのっとり行動しています。ただ年を重ねるにつれ、自分以外の環境を考慮した上で行動を制限していきます。お腹が空いたといって、スーパーの果物をかたっぱしからお金を払わずに食べてしまう人は見たことありませんから、人は社会性を身につける能力があるわけですし、藤井先生によれば他の動物も社会性を身につけていくそうです。
その社会性の視点から脳機能を研究することで、コミュニケーションをよりスムーズにし、豊かな社会を実現していくという研究が藤井先生の研究と私は理解しました。
2 BMI
これはまさに映画「アバター」のように、脳波を解析してマシンに情報伝達するものです。簡単にいうと、頭の中で右に曲がりたいと思っただけで、ハンドルを使わずに自動車を右折させることができる、といったものです。アメリカでは軍事技術として莫大な研究費を使って研究されているそうです。
と、藤井先生の研究についてレクチャーを受けたところで、いよいよ私が被験者となって実験を受けることとなりました。怖いなー、何するんだろうなー。
被験者となる
実験するために研究室を移りました。そこには研究者が2名いました。
まずは小屋の中で、3Dの実験装置に軽く触れる。本当にやったら電流ショックが流れる痛い実験だというので、丁重にご遠慮させていただく。よくわからないが、3D用のメガネをかけたらなんだかサイバーコップのような写真になってしまった。
いよいよ実験参加。
実験の内容は、
- ヘッドマウントディスプレイをかけて、バーチャルリアリティの世界を体験する。
- その世界で変な事が起きる
- その世界を体験してどんなことを思うか
ということでした。まったく内容がわからないまま実験開始。
なんだかオデコに脳波みたいなものを装着するバンドと指先にもなんだかを装着。
準備完了で、実験開始。
うーむ
うーむ
うーーーーーむ。
実験完了
今回被験者としてうけた実験はとても不思議なものでした。残念ながら私はこの体験を文章にする力がありません。そして、みなさんにもこの実験を受けて欲しいのであえて内容は書きません。
でも、私の信念を揺るがすような実験でした。いまでもなんか不思議な感じがします。なんだろう、あれ。
とにかくみなさんにも実験を受けていただくしかないです。
そして藤井先生と一緒に、みなさんがこの謎の実験を受けていただけるような仕組みを作るように頑張ることを決めました。できるかどうかわからんけど。でも、この謎の体験はぜひともみなさんの共有したいんですねー。
一つ言えることは「自分の脳なんてたいして信用ならん」ということですな。
まとめ
藤井先生の研究、心から驚きました。これはなにかが起きちゃうぞと確信しました。藤井先生にはぜひぜひエッジの聞いた研究を今後も続けてもらいたいと思いました。要注目です。
※藤井先生に興味を持った方、こちらの本をどうぞ
つながる脳 藤井直敬著(毎日出版文化賞受賞)
そして今回、日頃まったく触れることのない研究所なるものに行き、その中で研究している方々に会い、実際に研究に参加させていただいたわけですが、本当に「自分には知らない世界があって、そこで頑張っている人がいて、とてつもないことが起きている」ということを身にしみてわかりました。これぞ職業体験の醍醐味。この企画がなかったら一生に知ることがないまま死んでいたと思います。うーむ、うーむ、すごいし、もっと知りたいぞ。
別の研究室の方、誰か私を呼んでくださーい。