@cosmeのアイスタイルを体験してみた
仲間内では「ネット第一世代最後の隠し玉」といわれているのが、そう、@cosmeを運営するアイスタイルである。創業は1999年。まだネットユーザーが男性ばかりだったころ、大量の女性ユーザーをかかえるサービスとして注目を浴び、web2.0が流行したときはまたもや大注目企業になり、これまで何度も上場の噂が流れたアイスタイル。で、今どうなってるのよ、アイスタイル。
ということで、今回はアイスタイルさんにお邪魔して職場やらビジネスを聞いてきました。
■アイスタイルについて
「株式会社アイスタイルでは、「化粧品メーカーとユーザーをつなぐ」様々なサービスを展開しています。
長年蓄積された@cosmeをはじめとするデータベースから、「広告」や「販促」、「リサーチ&コンサルティング」など多種多様なサービスを株式会社アイスタイルでは創造してきました。」
〜会社概要より〜
詳しい業務内容はあとまわしにまして、とにかく@cosmeを運営している会社です。
<会社概要>
http://www.istyle.co.jp/companyinfo/
株主見ると、ヤフー、サイバーエージェント、ベネッセ、講談社、DAC、住友商事、NTTデータ等々すごいオールスター勢ぞろい。すごいな、これは。資本金も7.5億か。
あ、顧問に国領先生が入っている。とにかくビカビカにいい会社でございます。
社長 吉松徹郎氏
詳しい経歴はこちら。
http://www.istyle.co.jp/boardmembers/
元アクセンチュアですね。当時はアンダーセンか。
このころのアンダーセンをやめた人はたくさん面白い人いましたねー。百式田口さんとか元ネットエイジ松山太河さん、ジョブウェブ佐藤さん、大石もそうだったな。
吉松さんは99年からの知り合いですので、仲良しこよし。
■@cosmeについて
・設立 : 1999年
・ユーザー数 : 月間ユニークユーザー600万人
・PV : 月間2.1億PV
・総クチコミ件数 : 770万件
■化粧品業界について
アイスタイルが取り組んでいる化粧品業界について基礎情報。
・市場規模 資料や統計のとりかたによるが約1.5兆〜約2兆円
→10年くらい横ばいだったが、ここにきて若干低下傾向
・広告費:約3,000億円(ここ3年減少傾向)
※参考:http://www.admt.jp/library/statistics/ad_cost/business.html
■というわけで、アイスタイルさんです
4月某日。
吉松社長に待ち合わせとして新宿を指定されました。
新宿?アイスタイルは青山のはずでは?と思ったら、なんとびっくり。
アイスタイルはリアルな化粧品屋さんをやってました。
正直、知りませんでした。これってみんな知っているの?
しかもすでに6店舗。
このお店はさすがに@cosmeと完全連携。カエルもいます。
このお店、なんと売ってない商品までおいてあるんだって。評判がいい商品はこれです!ここで買えます!ってご親切に案内してる。まさに@cosmeリアル版。すごいね。
商品についているバーコードを読ませるとその商品のクチコミが出てくるというすんごい仕組みが導入されていました。コレは便利だ!
お店をやってる会社の社長、佃さん。お邪魔しています。やっぱりアクセンチュア出身だそうで。
あと、通販でしか売ってなかった商品も販売。これまた@cosmeならではかな。
さて、次。電車に乗って池袋へ移動だって。別のお店を見せていただきます。
ん?
そう、池袋はホームにお店があるんです。超衝撃。略して、超撃。
KIOSKみたいに売ってました。JRさんとの実験らしい。
店の横にはパウダールーム完備。ホームにこういうのあると女性はうれしいのでしょうねー。
そして、最後は先月オープンした銀座店。プランタンの地下1階に連れて行ってもらいました。
ここはかわいく30坪くらい。
ここも@cosme色、満載。かわいい。
さすがオープンしたて。胡蝶蘭あり。
とまあ、店舗がいっぱいあるんです。女の子は知っていたかもしれないですが、ネット男子は知らない人がおおいんじゃないでしょうか。僕は11年付き合っていて知らなかった。
池袋の駅を使っている人だったら知っていたかもね。そういう意味ではすごい広告にもなるね。いい戦略かも。
ちなみにお店は新宿、上野、池袋、銀座、渋谷、福岡にあるそうです。まだまだ増えるらしいです。
同じビルにフラクタリストがあったので、ちょっと潜入。でも知り合いがいなかったのですぐ離脱。
なんと昔の僕の部下を発見。激太りしてるやん!まったく気付かず。ごめんね。
@cosme主催の山田メユミさん。ご無沙汰です。
さて、ここからは社長室に入り、じっくりとアイスタイルのビジネスのレクチャーを受ける。ほんと、すいません、時間とっていただいて。
■アイスタイルのビジネスについて
ここからは吉松社長から聞いたことを小澤が解釈して書きます。
万が一、非常識な見立てや化粧品業界の方に失礼な記載があったとしてもそれは小澤の見解であってアイスタイルの見解ではないので、よろしく!と予防線をはってから展開。
さて、アイスタイルの売上は大きく
・広告
・物販
に分けられます。
吉松社長のレクをベースに私が解釈したところそれぞれに対するアイスタイルのビジネスモデルは以下の通り。
→広告のビジネスモデル
「化粧品というのは他の業界に比べ売上に対する広告費率が高い。しかもこの3,000億円ある広告費のほとんどがテレビ、雑誌である。将来これがネットに移行していった場合に、10%とるだけで300億円となるから、ネットでの化粧品広告媒体としてトップの地位を作る。」
→物販のビジネスモデル
「現在の化粧品販売の仕組みは現状では成立しているが、今後は変革を求められている。インターネット販売や、インターネットとリアルを組みわせた新しい販売の仕組みを作り上げる。」
正直、アイスタイルのビジネスの根幹に関わる部分でもあるので聞いたことを全部書くわけにはいかないが、非常に素晴らしい着眼点であるし、すでにその目線で10年やっているのがすごい。
広告にしても物販にしても@cosmeがベースになるので、ここを成長させていくことが会社としての基本なようだ。
それぞれに対してもう少し詳しく見ていく。
■広告について
現在の化粧品の広告は主にテレビと雑誌の比率が大きいとのこと。ちなみにネットは数%。
ただ他業界と同様に、消費者側のメディア選択の流れに応じて、化粧品についても今後確実にネット比率が高まるであろうから、その際には@cosmeは確実に有力な出稿先の一つとなるでしょう。よってこの部分は成長の確率はとても高いと考えられます。極めてシンプルかつ有力なビジネスモデル。
あとはネット媒体での広告費のシェアの奪い合いになるわけですが、ここはトラフィックだけじゃなく、コミュニティをベースとした商品設計で対応しており、これがうまく機能する可能性が高い。
いずれにしても大手化粧品会社がネットに広告費をいつ、どの程度振り向けるか、その際に@cosmeにどの程度投入してくるのかが非常に注目されるし、大いに楽しみである。
■物販について
アイスタイルが手がける物販ビジネスは大きく分けて2つ。
1 cosme.comよるネット通販
2 リアル店舗による販売
<ネット通販>
化粧品におけるECの比率は他業界同様高まっているため、一般的には今後も成長を続けることが予想される。ただ家電業界等の他業界と化粧品業界で大きく異なるのは「対面販売でしか販売しないため、ネットで買えない商品」が多数存在することである。よって、通常のECであるような
・同じ商品を買うなら安く買えるネットの方がよい
という方向でECのボリュームが増加していくことがなかなか実現しづらい。
よって、化粧品におけるECは基本的には他業界に比較して成長率は緩やかであることが予想される。
一方で、@cosmeのランキングを見ていると大手化粧品会社ではない商品が多数売れており、@cosmeが生み出している「商品選択のタイミングからネットを活用する消費者行動(従来はTVCMや雑誌に依存)」が増加していくことにより従来とは異なるマーケットが大きくなっていくことが予想される。
<リアル販売>
リアル範囲については現在の6店舗の数字を見る限り、アイスタイルが手がける小売方式は顧客に確実に受け入れられていると思われる。従来の小売店よりも来店客数が全然いいんだそうだ。
さて、その肝心なアイスタイル方式の小売について。
既存店と一番本質的な違いは
既存店:メーカー主導での店舗づくり
@cosme store:消費者目線での店舗づくり
だと見た。
もちろん、既存店も消費者目線が0じゃないと思うが、間違いなく@cosme storeは日本一消費者目線での小売店である。日本一なんて言い切れるのか、とお思いかもしれないが日本で最も多くの消費者の声が集まっている@cosmeをベースに運営しているんだから間違いない。言い切れる。
そもそも既存の小売業者はメーカーに依存する体質が強く、小売店自らの意思で店の棚1つをいじることが難しい店舗が多いらしい。。そんな中で消費者の声をベースに店舗や商品構成を変える戦略をとっている@cosme storeは圧倒的に強くなる可能性がある。
また、大手企業の場合多くのブランドの化粧品は「どこで買っても価格が同じ」という状況になっており、アイスタイルがここにどう斬り込んでいくのか非常に興味がある部分である。
つまり、アイスタイル現状の化粧品販売の常識である
・小売店は商品構成、価格、販売方法についてメーカーに強く依存している
というものを消費者目線をベースにした新しい方法を構築できれば成功の確率はどんどん高まる。
すでに商品構成を消費者目線にしただけでも店舗の売上が大きく上昇しているわけだから、価格に踏み込んだ場合の効果は想像するに難くない。非常に楽しみである。
もちろん、メーカーとの関係の中でどの程度既存小売店と違うことができるかは今後の展開次第であり、吉松社長の手腕に大いに期待したいところである。
■まとめ
@cosmeで化粧品のプロモーションやマーケティングを変革し続けてきたアイスタイルが、リアルの販売を自分で行うことにより加速度的にプラスの相乗効果がうまれることは想像に難くない。従来分離していたマーケティング・プロモーションとリテールの双方をアイスタイル社が行うことにより、新しいビジネスモデルを生み出される可能性を強く感じる。
■最後に
化粧品業界、初めて勉強した。ちょっとかじっただけだけど、すごいポテンシャル感じました。
どうりでアイスタイルにみんな投資したがるはずだ。オレはうっかりweb2.0とかそのあたりのキーワードでの表層的なアイスタイルの評価しかしてませんでした。ごめんね。
しかし10年以上前からIT×化粧品に取り組んできたアイスタイル、吉松社長はすごいわ。
アイスタイル、ばんざーい!
自分のチャレンジを通じてNPOに寄付をを寄付を募るというJustGivingに参加しています。
私のチャレンジはこのblogにある「100箇所の職場体験、現場体験してきます」で、寄付先は災害や貧困、紛争に対して国際的な支援を行っている「ピースウインズ・ジャパン」というです。ご興味を持っていただける方はこちらを御覧下さい。
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