ECナビを体験してみた

僕は昔「ビズシーク」という会社をやっていました。懐かしい。とても懐かしい。
創業は1999年。最初の投資家は当時のネットエイジ。
その頃のネットエイジにはミクシイの笠原社長、グリーの田中社長、クロノスファンドの松山太河氏、ワークライフバランス社社長の小室淑恵氏等々が出入りしていて、今思えばインターネット界の「トキワ荘」のような状態になっていて、すんごい楽しかったわけです。

その当時ECナビもネットエイジの支援を得て創業された会社の一つでした。なので、僕はECナビを勝手に兄弟会社と思っていました。とはいえ、僕の会社は2年で楽天に買収されてしまったのですが、一方でECナビさんは順調に発展を続け、いまや売上が54億円、利益は5億円(2009年9月末)。ああ、この差。

というわけで、宇佐美社長から「ECナビを体験してみない?」という誘いを受けたときは、この体験を通じてECナビのビジネスもさることながら、ECナビ発展の秘密を見つけたいと思ったわけでした。

ECナビの会社概要

■会社名 株式会社 ECナビ  EC Navi Company
代表取締役 宇佐美 進典
■設立 1999年10月8日
■資本金 3億7,262万円
■売上高 売上53億8,600万円、営業利益5億円 (第11期:2009年9月末時点)
■スタッフ 約 260名(2010年1月時点)
■運営メディア
・価格比較サイト「ECナビ」の企画・運営
・サービス比較サイト「オールナビ」の企画・運営
ソーシャルブックマークサービスBuzzurl」の企画・運営
・無料事典サイト「kotobank」の運営
・無料アバター育成ゲーム「不思議なピクミー」の企画・運営
・お買い物代行サービス「ECナビコンシェルジュ」の企画・運営
・ビジネスポータルサイトcybozu.net」の企画・運営(cybozu.net株式会社)
・ポイント交換サイト「PeX」の企画・運営(株式会社PeX)
検索連動型広告導入支援サービス事業(株式会社adingo
・日本でのネットリサーチサイト「リサーチパネル」の企画・運営(株式会社リサーチパネル)
・アジアでのネットリサーチ事業(株式会社リサーチパネルエイジア
・中国での高級ホテル宿泊予約サイト「慢慢走」の企画・運営(上海易市網絡信息有限公司

さてさてECナビさんにやってまいりました

3月のとある月曜日にお邪魔してきました。場所は渋谷です。

受付はなんだかとてもすごいです。

この奥が有名な「Ajito」というフリースペースです。

会議室のスペースも凝りに凝っております。



まずは朝礼

まずは9時半から全体朝礼です。毎週月曜日に行われているそうです。
場所は、オフィスの中心のフリースペース。全員立って行います。これなら寝ませんね。さて、朝礼はとても和気あいあいとしています。各部署から報告が行われ、拍手が巻き起こります。拍手が少ないと発表者自身がもっと拍手をくれ!とアピールするのがとても感じいいです。社員によるフリーテーマのスピーチタイムや新入社員の紹介もあります。最後は宇佐美社長のスピーチで締め。とてもテンポよく、そして明るい朝礼でした。

社内の様子。

新入社員の席には目印に風船が浮かんでいます。ナイスアイディア。

オフィス中心にある文字通りガラス張りの社長室。扉はいつも開いています。



さて朝礼後は社長室に戻り、秘書の方や広報の方と1週間の予定の確認。それが終わると、今度は各事業の方々が入れ替わり立ち代り事業報告と相談。どんどんこなしていきます。社長室の扉は開かれているので、どんどんいろんな人が入ってきます。さらに合間を見つけてホワイトデーのお返しを社員に配る。やっぱり社長忙しい。

営業進捗会議

11時からは幹部の方々による営業進捗会議。

これはかなりシビア。資料一式見せていただきましたが、ものすごく細かい分析が加えられていると同時に、資料自体ここに到るまでおそらくすごく改良されてきたのだろうなという跡をここかしこに見つけることができます。
会議自体は各事業からの発表にたいして、いろんな方からどんどん質問やらツッコミやらが入ります。厳しい、というよりもなんとかみんなで目標を達成するためにアイディアを出し合おうという姿勢が見えました。とにかく猛烈に濃密な1時間です。

ランチ

12時過ぎからランチ。宇佐美社長とPEX社長の丹野さんにご一緒させていただきました。丹野社長はもともとPeXには開発者として参加されたそうですが、昨年から社長になったそうです。1開発者が社長になれるというのはとってもモチベーションが上がりますよね!

インターン向け説明会

13時からは、インターンの学生たちに対するビジネスプランを作るためのプレゼン。

25名ほどの学生にたいして社長自ら90分のプレゼンを行います。これ、本当に学生にとっては貴重だと思います。社会人対象だったら参加費が十分とれるプレゼンです。でもきっと学生はこの真の貴重さがわからんのだろうなあ、と思いながら実はその会場で唯一の社会人である僕は非常に勉強になってしまいました。
インターンはその前の週末に合宿し、チームビルディングの講習等を受けたそうです。月曜日に宇佐美社長からビジネスプランを作るこのプレゼンを受けた後に各チームで実際にビジネスプランを策定。土曜日に発表を行うというもの。最後、みなさん涙をながすほど感動するそうです。このインターンは従来1年に1回だったものを年に4回に増やしたそうです。
それにしてもインターンに対して人的にも金銭的にも激しい投資を行っています。なんで?と聞いたらここから良い人材が採用できるから、だそうです。通常の採用活動やるより結果的にいい人材が取れる、とのこと。その秘訣を聞いたけど、ちょっとここでは企業秘密の領域と判断しましたので、書くのを控えますね。

社長室でmtgは続く・・・・

15時からはまた社長室にて各事業の長とのmtg


責任者がきていろんな相談やら報告のmtgをどんどんこなしていきます。
基本的に和気あいあいです。笑いが絶えません。社員もすごく気軽に「ちょっといいっすかー」と言いながら社長室に入ってきます。

僕は時間の都合でここで職場体験終了。
本当にありがとうございました!

ECナビ強さの秘密

さて、たった1日ではありますが、ECナビがなぜ強いのかを一部垣間見ることができました。この1日で僕なりに感じたECナビ強さに関する感想です。

  • いつもニコニコしている宇佐美社長

宇佐美社長は知りあってから11年たつけど、本当にいつもニコニコしている。このニコニコは社員、取引先にたいして最高の効果を発揮していると思う。この笑顔を見た人は勝手に「自由にやれそう」「包容力ありそう」「失敗も許されそう」といったことを感じ、前向きな気分になってしまうんじゃないかしら、と思うわけですよ。
やっぱり笑顔はいいですねー!

  • まったく隠さない

今回お邪魔した際、すべての数値をまったく隠さず見せてくれました。僕、一応楽天の顧問だったりしまして、知ってしまってはまずいような数字もあったんですけど、まったくお構いなし。すさまじいディスクローズ。この姿勢は正直びっくりしましたが、逆に言うと自信があるからこれができるんだなと思いました。

ちょっと話を脱線させます。
僕はわりといろんな方から新ビジネスの相談を受けます。で、たまにあるんですが、その中でたまに出会うのが

このビジネスプランが大手に知られたら真似されてやばいです

という方です。そういう方に対して僕は

気持ちはわかるんですが真似されて負けるぐらいのモデルだったらやっぱりあなたがやる意味ないかもしれませんね

と思っちゃうんです。
もちろん技術的なコアな部分だったりは確かに隠さないとまずいです。でも、インターネットでサービスやる場合、サイトを開けた瞬間から誰にでも見られる可能性があるわけだから、大手企業だろうが海外企業だろうがどこにパクられたとしてもやっぱり自分が勝つ理由というものを持っておく必要があるんじゃないかと思うわけです。
僕はその延長線において、情報を隠そうとする社長よりうまくいっていることもそうじゃないこともあけっぴろげな社長が好きです。売上とかPVとかも含めて。まあ、うまくいってなかったりすると隠したくなるんですけどね。気持ちはわかるんです、気持ちは。だからこそ宇佐美社長の情報を思いっきり開示する姿勢の勇気と自信を感じるんですね。

  • トレンドを逃さない

twitterによる新卒採用はまさに、という感じですがとにかくトレンドをしっかりとウォッチし、しかもそのトレンドに対して的確にうち手を打っているように見えます。サービスの展開を見ていても思いますし、会社系を見ていても思います。トレンドに対して0.5歩先〜0.5歩後のポジションを上手にとっているように見えるんです。そう、0.5歩後でも全然勝てるんですよ、勝負の仕方によっては。勝つ理由の見つけ方を知っているなという感じがします。

  • いいものはいい

前の項とリンクするのですが、いいものはいい、という姿勢でサービスを展開できるというのは強いです。ECナビはカカクコムと被っている部分は多くあるし、PeXは僕が以前訪問したGPointと被っている部分がある。でも、そういったサービスに対して後発でもしっかりと収益を出せる強さがあります。

また宇佐美社長がインターンに対するプレゼンで言っていましたが、ベンチャーや新規事業というのは世の中にない新サービスを展開するということだと思っている人がいるがそういうことじゃない、その会社、その人にとって新規であれば新規事業なのだ、というのは非常にわかりやすいですね。

  • 立ち位置を理解し、それに適応したうち手を打つ

これは

「新卒採用において、普通に勝負したらヤフー、楽天に欲しい人材が流れてしまう。僕らは僕らなりのやり方で人材採用していく」

という話を聞いて思いました。
自社の立ち位置を的確に把握して、それに対するうち手をしっかりと打つというのは当たり前なんだけど、これをしっかりやるのは難しいんです。

  • チームビルディングを知っている

僕が先日体験したチームビルディングを宇佐美社長は完全に理解していました。
※「チームビルディングの現場を体験する」の記事はこちら
インターンにたいしてまず最初にやるのがチームビルディングの研修というぐらい。会議に出ていて思ったのは、この会社は目的遂行のためにチームとして望んでいるんだな、ということでした。

おわりに

宇佐美社長、ECナビの皆様、ありがとうございました!
ECナビの強さを垣間見ることができました。
元兄弟会社社長としてこれからの発展を楽しみにしていますぜー!