不動産業を体験する

小澤職場体験シリーズです。今回は不動産業の会社に行ってきましたー。
不動産屋さん、全然身の回りにいないので謎のベールなんですよね。というわけでまずは・・・

不動産業界について

不動産業界についてのざざっと情報です。たくさん事業社がいて、しかも平均がすごく小さい。なんとその数32万社。ネットオークションサービスをやっているときは業界で1社勝ちじゃないと意味がないという状態だったが、32万社が存在している。驚愕。ネットではありえないリアルという産業がここにある。私から実に縁遠い業界といえる。平均年齢も高そうだな。やっぱり縁遠い。

  • 不動産業全体の売上高は34兆円

ここ10年横ばいが続いている。ちなみに全産業の売上高の2.3%を占める。
※資料 : 財務省「法人企業統計調査」(平成19年)

  • 主なビジネスとプレイヤー数

全体で32万事業所。法人数の10.6%を占めている。従業員数で約100万人。一事業所あたりの平均従業員数は3.2名で、全産業平均の9.7名と比較すると少ない。

■不動産取引業(65,005事業所)
  建物売買業・土地売買業(18,018事業所)
  不動産代理業・仲介業(46,987事業所)
■不動産賃貸業(196,057事業所)
  不動産賃貸業(除く住宅)(48,726事業所)
  貸家業・貸間業(147,331事業所)
  駐車場業(36,099事業所)
■不動産管理業(28,313事業所)
※資料 : 総務省「事業所・企業統計調査報告」(平成18年)


不動産業界についてなんとなくわかりましたか?では、次。

今回お世話になったホクトシステムさんについて

日時:2010年3月5日 14時〜15時半
場所:東京都日本橋
業種:不動産業
URL:http://www.hoct.co.jp/index.html
売上:非公開
従業員数:20名

面倒を見てくれた人:杉浦さん

【プロフィール】
慶應義塾高校慶應義塾大学を卒業後、楽天株式会社を経てホクトシステムへ。趣味は犬と遊ぶこと。東京都出身。社長のお孫さん。

ホクトシステムさんの業務内容

  • 不動産賃貸物件の情報提供サービス
  • 店舗物件に特化している
  • 紹介をしてもらう側(店舗を出したい側)が会費を払っていることが特徴
  • 仲介は行わず、取引は情報提供元と直接行っていただく

要するに純粋な不動産屋さんではなく、優良店舗物件の情報提供を行う会社です。厳密に言うと上記の不動産業には入らないかもしれません。紹介して欲しい(お店を出したい)側から会員制でお金をもらう非常に珍しい業態です。人材でも最近はビズリーチさんのように、転職をしたい人がお金を払って転職情報の提供を受けるモデルがでてきていますが、22年前からこのようなサービスを提供していたことは驚きです。現状、日本では唯一のサービスとなっているようです。

質疑

小澤:通常不動産情報は無料なのに、なぜ会員は会費を払っているのか
杉浦さんの返答:

良質の店舗物件はネットや雑誌には出てこないが、ホクトシステムならそういった情報を毎日、多数提供することが可能です。もちろん自社でも人手と手間をかけて、不動産業者と強固なネットワークをつくることが出来れば良質な店舗情報を探すことはできるが、その難しさや人件費とホクトシステムの会費の比較により採用いただいています。

小澤:なぜホクトシステムには良質の物件情報がでてくるんですか?
杉浦さんの返答:

物件を持っている側からすると広告掲載料、仲介手数料、図面作成料すべて無料なので、全く手間がかからず、デメリットがありません。また20年の実績があり、信用していただいているようです。ちなみに昨年の実績では4500社の不動産業者から情報をいただいています。

小澤:なぜ同業他社がでてこないんですか?
杉浦さんの返答:

実際は過去何社か出てきました。ただ、軌道に乗るまで赤字が続くのでそれに耐えられず撤退してしまいました。ホクトシステムは親会社が不動産仲介業を手がけていたこともあり人脈と信用があったことも幸いしたのでしょう。

小澤:お客さん(会員)はどんな会社ですか?

毎月出店をするような大手企業と、店を出したい個人や小中規模の会社です。比率は小中規模なほうが多いですが、大手企業は長くお客様になってくれています。

実際の業務

日常的には毎日新しい物件情報が届き、それを加工し送信する社内作業と、物件供給元開拓と会員集めという営業業務。加工業務がなにげに大変そうです。

  • 会員の獲得営業
  • 良質不動産物件の獲得営業
  • 不動産情報の図面編集

これからの課題

売上の源泉は会員数なので、やはり会員を集めるのが第一とのこと。またそのためには魅力的な物件を集めなければならないのでこれまた課題。まるでマーケットプレイスですね。親近感わきました。

  • 会員を増やす
  • 良質の物件情報を増やす

小澤の私見

不動産業界おそるべし。32万社が生きていける、というのは本当にすごい。起業するにはいい業界なんじゃないかと思った。少なくともネットで新しいサービスやって10年継続する確率よりは高そう。不動産業大勝ちはできないけど、ちゃんと成功事例を研究すればそこそこちゃんと生きていくことはできそう。おもしろいかは別として。身の回りで参入している人が少ないのが不思議に思えてきた。
そうはいっても事業者数はここ30年増え続けているにも関わらず、マーケットは横ばいなのだから1社あたりの平均売り上げは下がっているわけで決して楽な業界ではないんだろう。

さてホクトシステムさんの話を聞いて思ったことをいくつか。課題関連についてはボヤかして書いています。

  • 借りたい人を会員化して有料のビジネスをやるという逆転の発想のビジネスを20年以上前からやっていたのはとにかくすばらしい
  • 業界内では一定の知名度があり、これも歴史の賜物であると感じた。特に不動産業は携わっている人の年齢層が高くそういった意味でも信用力がとても重要である。
  • 貸し手にも借り手にもニーズがあることは間違いなく、今後も収益が見込める。
  • 一方で大きく成長するためには克服しなければならない課題もありそうである。大きくは

  さらなるネット対応強化(サイト改善、サービスのネット化、SEO等)
  顧客セグメントごとの商品設定
  無料会員等の施策による幅広い囲い込み
といったあたりように思えました。20年の歴史をプラスに行かして杉浦さんの新しい感覚とネット化により、さらなる発展を目指していただければと思います。